「冬」。
漢字起源説によると狩りの道具や嬰児の姿であるとされている。この現代人では全く理解出来ない由来も〝寒さ〟が齎した現象を表したものとして解釈されているようである。草木が枯れ、狩りに都合の良い季節に石と石を結びつけた武器(連球)を用いていたことや胎児が産門から出た(産まれた)時に泣く姿が寒さに振るえているように見えたので、母子の繋がりを表した。
気温の低さから貯蔵がしやすく、蓄えの時期とも言えるのかしら。また、1年のサイクル、春夏秋冬で最後にあたるのが冬。
何れにしても、冬は寒いのイメージですね。

私はロハンには四季は疎か時間すらも感じさせてくれるものはないと思います。それは時間による気候や風景の変化、露店に並ぶ旬の食べ物や衣類などが一切ないからです。また、四季を意識した毎年恒例の定期的なイベントなどがある訳でもありません。ドラットの雪景色を見ても、それは〝真夏の南極大陸〟同様に冬とは言えないでしょう。唯一、コスチュームの着替えは季節を感じさせてくれるような気もするけど、他人を見ていると気にしていない様子です。そして、チャットによる季節の話題では字(絵)にならない。
そこで、一般的に冬を感じさせてくれるロハンにはない架空のものを自分で投げ込むことにしました。〝冬のマスコット〟の雪ダルマくんと雪の結晶くんです。豚と目覚まし時計ではありません(笑)。ブリザードや雪球を投げつけて元気に遊んでいる姿を眺めながら、(私が)部屋の暖房で暖められた空気で曇ったガラス窓に指で「ROHAN」と書きました。
寒い冬を感じてもらえたかな?
さて、募集しているものから大きく逸脱してしまっているものを数メートル下がって眺めてみる。
煌びやかに光る中、気品漂うヒロインがひとり。
天空には暗い闇に輝く星。
モニターに流れるオペレーションの文字。
希薄な成層圏ではドッグファイト。
こ、これは・・・
ダメ!やっぱり、言えない。
ユニコーンも描けば良かったね(¨ )
こうなってしまったのは我が家から(冬ではなく、案内場所としての)白銀の世界に行くには旅行をしなければ行けないということ。「Attention, please!!〇☐時×△分、アインホルン発エトン行きのご搭乗手続きを開始いたしますので、チェックインカウンターまでお越しください・・・」みたいな感じが根本にある。
もうひとつは参考になるものはないかと探していて、目にしたモビルスーツ姿のスキーヤーを見た時に、多分、憑依されてしまわれたものと思われる。
また、タイトルの北方探検は教科書に出てくる史実とは異なります。以前、バラン島のことを書いたことがあるんだけど、その時にマスコミ関係者さんらしき方のアクセスがあって、どうして私のブログを閲覧しに来たの?と思ったんだけど、その頃、日本海または東シナ海にあるとされている架空の波浪島問題で世間が騒いでいたからかな。見た人は吃驚したかもね?だって、のんびりと観光してる記事なんですもの。これじゃないわ。と思ったはず(^^ゞ
紛らわしいぞ、ロハン!
字のデザインなので書道も考えてみる。専門的には学校教育にある習字とは違い、芸術とされる書道。コンピュータのフォントにも冬の名前が付けられたものがあるけれど、どっちかと言えば、年賀状に向いている字体みたいですね。
新年の決意や計画的なさまを表して、強く流れるような字?
でね!題字イラストなのだから、もっと、シンプルでいいと思うのよね。

寒い冬の代名詞の氷をイメージするブルー、人が暖を取る炎のレッドと保存品。
保存ストーンでロハンぽさをキープだね><b
季節の行事、クリスマスや大晦日にお正月。年度末に向けて、慌しく納品や辞令・給与査定の時期、学生さんだと進級や進路決定かな。こういった事柄でも冬かしら。R.O.H.A.Nの冬とは寒い季節にR.O.H.A.Nで起きた出来事を指すのかもしれませんね。
ということで、テーマである『R.O.H.A.Nの冬』とは結び付かないので、R.O.H.A.N大陸案内ガイド『ドラット編』に応募するのを止めました。
Fail..
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R.O.H.A.Nキャッチコピーコンテスト
幾つか言葉を並べてみたんだけど、人生相談のパーソナリティにでもなった気分になりません?
キーワードは8周年とフレンド・・・
【キャッチコピー】
〝誰だ? 〇〇でしょう? あっタリー! 8ったー!〟
(ロハン8周年、復帰者キャンペーン実施中!)
【コメント】
バッタリ出会った懐かしい友人を驚かせようと、後から目を塞ぐシチュエーション。
ロハン用語を連発し、「そう言えば、そんなのあったなぁ」と思い出させる作戦。
※映像(PV、漫画など)で流せば尚良し
ユーモア賞にでも引っ掛からないかしら?
難しいですね。
テーブルの上に開かれた一冊のアルバム。
3人が各々単語を言い、その場を立ち去る。
後に残されたアルバムが裏表紙に閉じられて〝ロハン8周年〟の文字が浮かび上がる。
私がロハンに出せる精一杯の言葉で〝アルバムVer.〟と題して応募させてもらいましたけど、巧い言葉が浮かびませんでしたね。
第2回の結果発表に続いて、第3回のガイド。
意外と言えば意外でしたけど、テーマはエトンではないのですね。
テーマに沿ったタイトルが幾つか思い浮かばないでもないけれど、具体化するかは気分次第・・・
初心者向けのR.O.H.A.N大陸案内ガイドは次回があっても、もう応募しないつもりでいたけど・・・

作品を投稿する際に〝口説く〟コメントを書きました。
第2回 R.O.H.A.N大陸案内ガイド『モーリセン編』 SS&イラスト 題字イラスト部門に応募します。
前回『エイブラリ編』のGMブログ記事を読ませて頂きましたが、題字というよりも表紙に近い扱いをされていましたので、タイトル、概略を含めた表紙にすることにしました。
BSからカイノンに向かい、四方を岩に囲まれた小さく見える入口を入ると、『わっ!』と広がる岩や木々を刳り抜いた風景が印象的です。それと、ハーフエルフの設定上の小説に『ハーフエルフ花嫁殺人事件』というのがありましたので、〝カイノンの結婚式〟のように纏めてみました。ハーフエルフの統治者、ゾナト・ロータスをイメージする大きな鳥を枠にして、町を守る自然、男性の包容力のある強さを表現して、女性にとって結婚式は一世一代のセレモニーと考える人が多くいますので、ブーケ代わりに淡く光る様に花を描きました。どの種族よりも若い国家の彼らのエピソードは恋愛話に成り易いのかもしれませんね。残念ながら、戦いをテーマとするロハンに於いてはハッピーエンドなお話ではありませんでしたけど、[私の下手な絵を想像力豊かな力で見て頂いて・・・]結婚式へ向かう幸せな時のようなものを感じて頂ければ幸いです。(笑)
ずいぶん、大きく出たもんだ!?
追記すると、規定の文字(『R.O.H.A.N大陸案内ガイド』)を茶色にしたのは小枝を表し、幾重にも広がり、枝が光を求めて育つ様に、この大陸の各々の場所へと誘う意味を込めました。また、数メートルくらい離れて見ると、『木漏れ日が射し、(規律正し過ぎる)白い小波が立ち、水中の物体が透き通っているカイノンの中央にある池』に配色してあります(ノ´▽`)ノオオオオッ♪。
ほんとに?・・・物は言いようだわ。
〝2重のトラップ〟
何の~ぉ(¨ )?
落ちてね☆~(ゝ。∂)
今回、私が欲しい賞品は無いんですけど(〃∇〃) っ☆画像の編集のやり方は少しは分かるので、賞品云々以前にお絵描きはゲームでプレーをすること以上のお遊びだと思っているので、お料理好きな人がいろいろレシピを変えて作るのと同じで、時間と気分で描くんです。
前回、何処かのブロガーが「うさみみ、ピンク!ピンク!」(注:正確には白)と騒ぎまくり、標識みたいな実益のある賞品ではなくなったから、みなさんの関心が薄いかもしれないですね。
可愛い感じのものも描いてみたくなったので、枠にうさぎの影絵を描いてみた。これが公開される頃は食欲の秋なので、にんじんやビスケットを食べながら、遠足(お遣い)か部屋で絵本のお話を聞きながら時間が進むみたいなイメージでいたんだけど、過去を意識していたのと参考にしていたSSに写っている古びた巻物を見ているうちにカテキンが多めのお茶のように渋くなってしまったかも(≧~≦)o旦~。

数体のモンスターに囲まれるだけでも倒されてしまっていた初心者の頃、カイノンから始まるクエストをしたのを思い出し、過ぎ去りし日を古惚けた絵日記風にパロディ化してみました。
※わんこ(ドレクターというモンスター)が怖かったのは半分本当の話です。
これを題字イラストという点で余計な物を交換すると・・・

もう少し、厳密には・・・

これが題字イラストのテーマである岩や木々を刳り抜いたような丸い形をした町を遠方から眺めた時に覆い被さる巨大な木の蜃気楼が見える〝カイノン〟です。
ラフすぎ~ぃ><♪
でもね、もうひとつあるの。文章中にあるカイノンの文字!
中央の絵を描き終える頃、そう言えば、テーマはカイノンだっけって気付いたのだけど、そのお話のライネル川上流をカルバラン監視所へ向かう途中の絵にすることに決めたんだもん!
「来ないで!」
女は悲鳴を上げた。
暗がりの部屋にそれは居た。窓から照らされる月明かりで、それが激しく運動をしている黒光りしたものであることが分かった。女はそれに触れられた時を思い出して身震いした。ましてや、服の中に入り込んで来たり、身体の中に入って来たらと思うと頭の中が真っ白になった。
彼女はそれを目の当たりにした拍子にペタリと床に腰を落してしまっていた。今もこちらの様子を窺いながら、頻りと動いているものから逃れようと、乱れた浴衣の裾を隠しながら後退りしたが、日頃の綺麗好きが祟ったのか、ワックスが効いた床は焦る彼女の後退を無慈悲に阻止していた。
思い通りに行かない苛立ちと真夏の夜に手元が滑り、何度も横たわってしまった。逃げ惑う彼女の鼓動は高鳴り、掻いた汗は首から胸元をひんやりと伝わっていた。
「嫌!近寄らないで」
前後に激しく動きまわり、細長く、硬い黒いものは彼女の気持ちを嘲笑うかのように彼女の家の中で本能の赴くままに我が物顔で振舞っていた。
-数時間前-
暖気に浮かんだ大きなものが鮮やかなざらざらとした甘い色で染められて、逃げ出してしまわないように地上で作られた半透明の袋に包まれて並んでいた。歩きながらでも食べられる味付けの濃い軽食などは大人を上機嫌にする小麦色の魔法の水を勧めた。
今夜は夏祭だった。
法被姿の老若男女が太鼓をトントントントン、トトントトーンと演舞し、催し物会場では高くなっている舞台上で所狭しと跳ね回る芸人が喜劇をし、皆が腹を抱えて笑っていた。女は方々を見て周り、楽しい時を過ごしていた。
「これやってみない?」
女は一緒に来た友達に言った。
「どれが良いかな?」
広い台の上に置かれたいろいろな景品には細長く白い紐が付けられていて、どれがどう繋がっているのかは布が被さっていて分からないようになっていた。
「よし、これがいいわ」
彼女は可愛らしい柄のよく弾みそうな丸い水ヨーヨーを見て、人数分の代金をお店の人に払った。
「3人分でいいの?」
ひとりが女の方を見て言った。
「え、何でよ。私達、3人じゃない」
「だって、2つ必要なんじゃない?」
友達は彼女の胸を見て、指を指して、方目を瞑る仕草をしながら言った。
「いやね。間に合ってるわよ」
「ほんとに?」
「ポヨン、ポヨーンて弾むのって気持ち良く無い?でも、二刀流なんて出来ないわね。じゃ、いっせーのせっ」
女が紐を引張るとその先には金色の紙が貼られている銅版が付いていた。
「何これ?」
唖然と見ていると、ベルが鳴りながら叫び声がした。
「大当たり!特等」
「え?」
「はら、姉ちゃん。これが品物だ。今話題の最高級品の杖だぞ」
「杖って何?私、まだお婆ちゃんじゃないわよ」
「知らないのかい?この界隈では最強の戦士に成れる強力な武器なんだぞ」
「別に私は戦士じゃないしぃ」
店番のおじさんは腕の長さよりも長い棒を渡すと、手を叩いて、次の客引きを始めた。
「まあまあ、折角当たったんだから、貰っときなよ。痴漢の撃退によくない?」
「そうかな?」
夜も深まる頃、彼女は皆と分かれて、帰宅の途に就いた。
彼女の家は木々に囲まれた郊外にあった。
玄関を開け、自分には不似合いな物を脇に立て掛けて置くと真直ぐに廊下を台所の方へ向かった。

壁にある電灯のスイッチを入れようとした時に物が動く微かな音に気付いた。
彼女の脳裏にはそれに関わった汚らわしい記憶が蘇り、明かりをつけるのを躊躇っていると、月明かりに照らされてそれは姿を現した。
「来ないで!」
黒光りするものは彼女を追いかけてくる様子も無く、台所で頻りに自分の欲望を満たすものを探し回っているようだった。彼女は無我夢中で玄関まで逃げ戻ると、先程、立て掛けて置いた最高級品の杖を手にすると台所まで勇気を振り絞って戻った。彼女は杖を構えると電灯のスイッチを入れた。
「えい!やー!」
杖を振り回し、必死で黒光りするものを撃退しようと試みたが、それは物陰から物陰へと素早い動きで動き回り、彼女の攻撃をかわし続けていた。業を煮やした彼女は一度電灯を消し、立ち去った振りをして、数秒後に再び、電灯をつけた。素早い目配りで黒光りするものを探すと、数メートル離れた床にそれは居た。数回の連打の後に見事に最強の杖は的を床に叩きつけた。
『グシャリ』
硬い甲冑は粉砕され、体液が滲み出ると黒光りする細長いものは動きを止めた。
彼女は数十枚のティッシュを重ねると、それの亡骸の感触を感じないようにそっと床から拾い上げると、ゴミ箱に捨てた。
「嗚呼、気持ち悪い。ゴ〇ブリだわ」
Lycoギルチャ、夏の怖い話より
まだ少女の面影が残っている彼女はすらりとした肌を露わにした服を着ていた。肉付きが良い胸やお尻は熟れた果実を連想させ、魅力を感じさせずにはいられない端正な容姿で、男の視線を感じるのは日常茶飯事であった。腰まで伸ばした銀髪が際立って人目を惹くその妖精はこの土地に長く暮らしていて、環境や風習に慣れ親しんでいた。ある日、特殊な魔法を使って、涼しげな水色でラッピングされた声を皆に送った。
「ねえ、ムキムキ君のところに遊びに行かない?」
今夜、彼女は自分でも思いもよらない感情が混じった悪戯心に取り憑かれていた。ひとりだけでは退屈だと思い、仲間を呼んで、時々、衝動的に駆られる筋肉質な如何にも強そうな男が弱っていく様を堪能することを思い付いたのである。
バイオレットのショートカットの女は何をするのか分からなかったが、妖精の誘いに二つ返事で答えた。もうひとりの真紅のロングドレスを着た女は目を輝かせながら、灰色にエメラルドグリーンの細い横縞の小さな仮面を被って、にやりと微笑んだ。
「行こう、行こう」
「パティーの始まりだ」
彼女達は妖精がある掲示板に書き込んだ募集を見て集まって来たそれぞれ異なった能力を持つ多種族であり、少人数ながらもギルドを結成して助け合っていた。普段は別々に行動をしているが、時折、こうして誘い合って、一緒に出掛けることが度々あった。
「あ、待って。私達だけだとムキムキ君が暴れだしたら面倒だから・・・」
「例の一族?」
「ええ。誘ってみるわ」
銀髪の女は他の者が聞くことが出来ない専用のフィルターの掛かった回線のような魔法で、遠方にいるであろう例の一族に声を掛けた。彼らはあまり体験したことが無いらしかったが、興味津々の様子で、二つ返事で行動を共にすることになった。一同はムキムキ君の棲家の洞窟付近で待ち合わせることにして会話を切った。
彼女は町にあるプライベートの金庫にしまってあるムキムキ君を呼び出す〝鍵〟と呼ばれているものを取り出した。
「これで準備が整ったわ。さて、ゲームの始まり、始まり」
これから起きる出来事に期待を膨らませて、二重瞼で大きな目を見開らいて、笑みを溢した。
妖精が待ち合わせの場所に到着すると例の一族だけが遅れているようであったが、まもなくして、集団は姿を現した。全員が揃ったことを確認した真紅のドレスの女は抑えていたものが解放されたようで、一目散に洞窟へと向かう急坂を駆け上って行った。
「あ、待ってよ」
それを見た他の者も彼女に従って走り出した。
洞窟内に入ると蜘蛛の巣が至る所に天上から張り巡らされ、幾つかの広いスペースに区切られていた。そこには贅肉だらけの巨大な怪物達が通路や部屋に本能的なものを求めて彷徨っていた。弱い者だったら忽ち行く手を阻まれたであろうが、彼女達の力はそれらを大きく上回っていた為に何事も起きなかった。突然、真紅のドレスの女は短剣を抜き、無言で、無表情ではあるが心の中では『キャー、ハッハッハーァ』と叫び声をあげて、怪物達に斬りかかりながら前進して行った。妖精はその女に残忍さを感じながらも自分も抱く同様のエクスタシーに身震いした。
「ちっ、先を越されたか。仕方ない、別の場所に行こう」
目的の部屋に辿り着くと、今夜、同じことを思い付いた者がいるらしく、そこにムキムキ君は居なかった。
「待って」
仮面の女が先導して立ち去ろうとすると、妖精は彼女達を引き止めた。
「準備は良いかしら?ムキムキ君を召還するわよ」
彼女は出掛けに持ち出してきた鍵をカバンから取り出すと、地面に置かれている幾つかの小さい銅像の一つにそれをかざした。すると、彼女の背丈の倍以上はある鍛え抜かれ、引き締まった筋肉を持つ巨躯な怪物が眠りから醒めたように静かに姿を現した。上半身裸の姿は見るだけでも妖精を十分満足させたが、左手で怪物の胸に軽く触れ、ゆっくりと指でなぞり、獲物の品定めをした。硬く分厚い胸板は頭に降り掛かる生温かい息遣いと同調して僅かに揺れ、逞しく盛り上った腕の筋肉は彼女の身体を軽々と持ち上げて、意図も無く我がものにしそうであった。数秒後、振り返り、怪物に背中を見せると、ゆっくりと皆の方に向かって歩き始めた。そして、指を鳴らして合図した。
「さあ、今夜の獲物よ」
例の一族のひとりの男がムキムキ君目掛けて攻撃を仕掛けた。ショートカットの女は何をして良いのか分からずに贅肉だらけの怪物と戯れていたが、妖精に指を指されて、向かうべき相手を理解した。
妖精は安全の為に両者にバリアーを与えながら、その様子をじっくりと観察していた。仮面の女は自分には役不足な相手と判断すると妖精に倣って傍観していたが、それに飽きると贅肉だらけに斬りつけて、自らの欲求を満たしていた。今夜の獲物は2人の為に用意されたようなものであった。
男と女は一心不乱に筋肉隆々のムキムキ君と格闘をしていた。一族の男は大きな身体に不釣合いな短剣を素早い動きで斬りつけていたが、規則的に足を振り上げては地面に叩きつけると、大きな地響きと共に周囲にいた贅肉だらけの怪物もろとも衝撃波を浴びせかけて威嚇していた。一方、バイオレットの女は左右に細長い剣を薙ぎ払い、勢いよく跳び跳ねると剣を突き立てて串刺しにしようとしていた。
「フンッ」
「ハァ、ハァ」
攻撃の際に発せられる互いの武器の交じり合う重く甲高い金属音と2人の掛け声が静かな洞窟内に木霊していた。
渾身の力で攻撃しても、攻撃しても一行に弱らない2人にムキムキ君は焦りを感じているようであった。彼、そう、元彼であったムキムキ君の呼び名は〝堕落した魂の守護者〟。強さに取り憑かれ、その欲望を満たす為に悪魔と契約を交わし、強さと引き換えに魂を売った男だった。
「ガォー!」
時折、ムキムキ君の怒号と共に繰り出される攻撃が2人を何度か金縛りにさせた。

「押さえ込まれちゃってるじゃない」
見兼ねた妖精は例の一族の長に古より伝わる暴れし者を手懐ける秘策をそっと耳打ちした。長は何のことか分からなかったが半信半疑で彼女の指示に従うことにした。
「やー!」
たった1度の攻撃でムキムキ君の怒号は収まり、巨大な矛を振り回すだけの木偶の坊に成り下がった。
強靭な肉体を持つ大男は休むことなく格闘を続けていたが、バイオレットの女はムキムキ君の底無しの体力に少々閉口して来た。怪物の相手を男に任せ、少し手を休めると、リラックスの為に軽く手足を伸ばした。その妖艶な仕草は初めて知る快楽に酔いしれているようであった。
「ふふふ・・・さあ、お前の持っている全ての物を私達に差し出しなさい」
妖精はムキムキ君が盲滅法に暴れ周り、徐々に弱り果てて行く姿を見ながら呟いた。
そして、もうひとつの喜びの時が来る日を待ち望んでいる。